コラム COLUMN
2009.09.30
大工さんの仕事。
今回で3回目となる『職人さんの仕事』シリーズ。
今回は大工さん。
介護保険を利用した介護住宅改修工事で、床と敷居の段差を無くすバリアフリー工事。
築40年で、敷居部分に段差があり、80歳を過ぎて足が上がりにくくなったご夫婦にとってはとても危険な段差。
たった15~20㎜の段差に躓きそうになるとか。
床板が一部、フワフワして抜けそうになっているところもある。
ご夫婦は、床下が白蟻に冒されているのではないかとご心配の様子。
この状態で床鳴りの有無をチェック。
問題は無いようだ。
3箇所ほど床板を切り取って、床下を点検。
床下は今と違って土が見える。(今は使っていないガスか何かの配管も見える)
今の住宅はコンクリートべた基礎だから床下は土なんか無い。
床下の土は良く乾燥していて、換気口からの風が上がってくるくらい。
頭を突っ込んで床を支える根太(ねだ)や大引き(おおびき)、束(つか)も点検。
白蟻の蟻道も無く、腐朽菌にも冒されてなく、全く問題なし。
床下のコンディションは良好。
ということで、工事再開。
まずは、この部屋の3箇所ある出入口の敷居の高さが全部ちがうので、一番低い敷居にあわせて、ほんの少しだけスロープを造る。
この敷居に使う材木は、アッシュという堅い木だ。
床材と引っ掛かりがなくなるように何度も擦り合わせる。
吐き出しの部分にもアッシュの床の見切りを入れて、準備OK!
敷居や床見切りの取り付けが出来たら、高さ調整用で厚さ12㎜の構造用合板を敷き詰めて釘で留める。
もともとの床材の下地の根太を狙って釘を打つ。
この合板を敷き込むことで結果的に補強にもなるし、一種の断熱材の役目をしたりもする。
(木材は断熱材ではないので、断熱材ほどの効果は無いが…。)
ここでもう一度、床鳴が無いかチェック。
今度も問題が無いようだ。
いよいよフローリングを貼り始める。
貼り始めの部分だが、実はここの工程がとても大変で、この後の床貼りの出来栄えにも影響するとても大事な工程なのだ。
壁は一見、定規のようにまっすぐのような気がするが、実は少しずつ波打っている。
嘘のような話だが、何処の家も大なり小なり微妙に波打っているのだ。
今回は、壁と床の取り合い部分に使う巾木(はばき)を新しく入れない工事なので、少しでもフローリングが壁に沿っていないと隙間が開いてしまう。
完璧に合わせるなんてことは、普通難しいが大工さんの腕に差が出る作業の一つだ。
縦に3枚継いで貼るので、3枚がまっすぐ折れずに貼れていないと、次の列で隙間が開いたり、ねじれたまま貼っていくことになるから、とても難しく、大工さんもとても神経を使うところ。
午前中、床貼り工事とは別の修繕をしたので、夕方までに本間(ほんけん)の8帖の約半分が貼れた。
今日は曇り雨の変な天気で、蒸し暑く汗だくでの工事。
お疲れ様です。
次の日、残りのフローリングを貼っていく。
今日も少し、小雨がぱらついている。
一枚ずつ、接着剤とタッカー(二股の釘)で固定していく。
隙間が開かないように、ねじれ無いように確認しながら。
そして昼過ぎて、いよいよラストスパート!
また、ここの部分が難しい!
最初の1列と同じように、擦り合せが出来ていないと隙間が開いてしまうので、何度も何度も、あたるところを印して、削って、また合わせて、印して、削っての繰り返し。
削りすぎると、隙間が出来て折角合わせたのが台無しになってしまう。
大工さんの丁寧な仕事で、無事床貼りは完了。
アッシュの敷居や床見切りを同系色に塗装して完了!
敷居部分にも段差が無くなりました。
少しフワフワしていた床板も、これで安心。
やっと完成しました。
家具を入れる前に、ワックスを2度塗りしました。
フローリングの色もやさしい色で、感じよく仕上がりました。
上畠大工さんお疲れ様でした。
ご夫婦にも大変喜んでいただきました。